ブランドパーソナリティとは？その定義と実例

NikeとBeckett Simononはどちらも靴のブランドですが、この2つのブランドを同一視する人はいません。たとえば、「Nikeのエアジョーダンが気になるけど、在庫がなければBeckett Simononのバーナードタッセルローファーを買う」と言う人はまずいないでしょう。これは、どちらも靴であるものの、NikeとBeckett Simononのブランドパーソナリティが非常に異なるからです。

ブランドパーソナリティは、人間の性格や特性に似ています。第一印象の決め手となる重要なポイントです。この記事では、ブランドパーソナリティの例や、あなたの会社のブランドアイデンティティに個性を加える戦略を紹介します。

ブランドパーソナリティとは？

ブランドパーソナリティとは、人間の性格や特性を思わせる、ブランドの特性が積み重なって形成されたものです。マーケターはよく、ブランドの特性を人間になぞらえて説明します。人間が洗練された個性を持つことができるように、ビジネスも洗練されたブランドパーソナリティを持つことができます。誠実で良い人間がいるのと同様に、ブランドも誠実で良い印象を与える存在になれます。

こうした特性は、以下の要素から派生します。

• ブランドボイス。ブランドボイスは、その企業が世間とどのようにコミュニケーションを取るかを示します。アカデミックなトーンから活気あふれるトーン、冷静なトーンまで、ブランドパーソナリティのスペクトラムのどこかに当てはまります。
• ビジュアルスタイル。 服やアクセサリーの選択など、個人のスタイルがその人について何かを伝えることができるのと同じように、ビジュアルアセットもブランドについて何かを伝えます。たとえば、色彩心理学に基づいて考えるなら、明るい派手な色はエネルギッシュなビジュアルブランドメッセージを示し、アースカラーはより地に足のついた個性を伝えることができます。
• マーケティングアプローチ。たとえば、ネット上でアニメーション動画を使って宣伝する企業は、見込み客に名前入りのダイレクトメールを送る企業とは異なるブランドパーソナリティを伝えます。

強いブランドパーソナリティがビジネスに与えるメリット

人間のような個性を体現することで、ブランドが親しみやすい存在になります。自社のブランドパーソナリティを確立すると得られるメリットは、主に以下の3つがあります。

1. 潜在顧客とのつながりを築く。ブランドパーソナリティは、しばしばあなたのターゲットオーディエンスの特性を反映します。たとえば、登山用具のブランドなら、アウトドア愛好家をターゲットにした逞しい個性を取り入れるかもしれません。誠実、能力、洗練、タフ、活気など、ブランドパーソナリティを特定することは、顧客との感情的なつながりを築くのに役立ちます。
2. 競合との差別化。会社のユニークなパーソナリティは、飽和した市場でニッチを見つけるのに役立ちます。同じ製品を同じ価格で販売している他の企業があったとしても、独自のブランドストーリーと個性で顧客の心にあなたのブランドの印象を残すことができます。
3. ブランドマーケティングを導く。マーケティングチームがブランドメッセージやサポートするマーケティング資料を開発する際に、確立したキャラクター特性に焦点を当てることで、プロセスをより効率的に進めることができます。

ブランドパーソナリティを定義し実践する方法

ブランドパーソナリティのフレームワークを作るには、会社のコアバリューを消費者向けブランドに変える5ステップのプロセスを行いましょう。

1. 会社のコアバリューを考慮する
2. ターゲットオーディエンスを特定する
3. ブランドパーソナリティの定義を書き出す
4. 企業ブランディングのスタイルガイドを作成する
5. 営業チームとマーケティングチームをトレーニングする

1. 会社のコアバリューを考慮する

ブランドパーソナリティの定義は、ビジネスのコアバリューを詳しく見ることから始まります。コアバリューは、尊重、誠実、情熱、エンパワーメント、謙虚さ、共感、創造性、楽しさなどの言葉で表現することができます。あなたの会社らしいブランドパーソナリティを定義するトーンとして機能する価値に焦点を当てましょう。

2. ターゲットオーディエンスを特定する

顧客基盤は、ブランドパーソナリティと結びついている必要があります。エクストリームスポーツ愛好者向けの製品を販売する場合は、エネルギッシュな個性を採用するとよいかもしれません。医師向けの製品を販売する場合は、方法論的な個性が役立つかもしれません。ブランドの特性を顧客の特性と一致させることで、絆を生み出し、長期的なブランドロイヤルティにつながります。

3. ブランドパーソナリティの定義を書き出す

ブランドパーソナリティの定義をスタッフと共有できるよう、ブランドのパーソナリティを肯定・否定する具体的な言葉を選びます。ブランドパーソナリティを定義する3～5の言葉（楽しい、親しみやすい、学問的など）と、ブランドにそぐわない状態を明確に表す言葉（真面目、洗練されている、愉快など）を選びます。これらの用語は、社内の全員がブランドをどのような「人」であるか想像できるようにします。

ブランドにそぐわない状態を定義する際は、どんなブランドも共感しないような形容詞（傲慢、執念深い、鈍感など）は避けてください。代わりに、他のブランドにとっては憧れであっても自社には当てはまらない特性（大胆、真面目など）を選びましょう。これらの微妙な点に注目することで、顧客と対話する際や、ビジネスのマーケティング戦略を開発する際の指標となります。

4. 企業ブランディングのスタイルガイドを作成する

企業ブランディングのスタイルガイドがあると、営業チームとマーケティングチームが連携しやすく、ブランドを最大限に表現することができます。スタイルガイドには、ブランドカラー、ブランドフォント、ロゴ、ブランドボイス、ブランドストーリーなど、ブランドの個性を反映する要素を網羅した具体的で実行可能なブランドガイドラインを含めます。

このスタイルガイドは、ブランドが体現する架空の人物に結びついたものである必要があります。ブランドを洗練された人と考える場合は、洗練された人物が公の場でどのように自分を表現するかを考えてみてください。

5. 営業チームとマーケティングチームをトレーニングする

パーソナリティに基づいたブランド戦略を確実に実践するためには、チームの賛同を得ることが重要です。ブランドパーソナリティが事業において重要であり、顧客とのつながりにどのように役立つかを説明します。作成したスタイルガイドを使って、営業チームとマーケティングチームのすべての活動にブランドパーソナリティ特性を組み込む方法を教えます。

ブランドパーソナリティの成功例3選

世界的に傑出した成功を収めているブランドの中には、そのブランドパーソナリティが特に有名なものがあります。ここでは、個性を活用してブランドのポジショニングを進めた3つの企業を紹介します。

1. Nike
2. Thinx
3. FTD

1. Nike

Nikeは、力強くアクティブな個性を投影することで、誰もが知るスポーツブランドの典型となりました。この個性の中心には、Nikeの有名なスローガン「Just Do It」があります。Nikeのマーケティングアセットには、頂点を目指して努力し、目標を達成しようとする人々で溢れており、すべてが可能であるという感覚を生み出しています。これにより、Nikeブランドは運動能力の代名詞となりました。

2. Thinx

Thinxは、サニタリー吸水ショーツを販売しています。Thinxの外向きの個性は、正直、誠実、共感的です。同社の率直なメッセージとボディポジティブな画像は、顧客が快適に感じられるように作られています。Thinxは、誠実なブランドが個性を活かして市場シェアを獲得できることを示しています。

3. FTD

FTDは、アメリカとカナダ全土に花を送るビジネスです。花は新鮮でなければならず、指定した日に確実に配達される必要があるため、FTDは意識的に有能なブランドパーソナリティを投影しています。ウェブサイトのインターフェースはすっきりとしたデザインで、真っ先に受取人の郵便番号と配達日を尋ねてきます。これは、FTDが最高のプロフェッショナリズムでサービスを提供するためにここにいるという、暗黙のメッセージです。