Eコマースサイトが増え、ネットショッピングが一般的になった今、日本国内だけでなく、海外から商品を取り寄せて販売する事業者も増えています。競合他社との商品ラインナップや価格の差別化を図るために、中国から商品を取り寄せている事業者も少なくありません。中国からの取り寄せは配送料が高額になると思われがちですが、中国EMSを利用することで配送料を抑えられます。
この記事では、中国の国際eパケット(中国EMS)の特徴や追跡サービスについて解説します。
中国の国際eパケット(中国EMS)とは?
中国の国際eパケット(中国EMS)とは、中国郵政速逓物流が提供する速達郵便サービスです。中国EMSの中でも、ECサイトで配送される中小型軽量商品に特化したものが「eパケット」です。eパケットは、親会社である中国郵政集団(China Post)のネットワークを通じて配送サービスを提供しており、中国の越境ECでよく利用されています。
消費者、eパケットを利用することで、中国や香港のeコマースサイトで購入した商品を、より早く手頃な料金で受け取ることができます。
eパケットで配送できる荷物の大きさ
eパケットで配送できる荷物や小包は、大きさが決まっています。詳細は以下のとおりです。
最大サイズ
円筒状のもの:直径の2倍と長さの合計が104cm以内(長さは90cm以内)
円筒状ではないもの:縦、横、厚さの合計が90cm以内
最小サイズ
円筒状のもの:直径の2倍と長さの合計が17cm以内(長さは10cm以上)
円筒状ではないもの:縦14cm、横9cm以上
重さ
パッケージの重量が2Kg以内
配送対象の商品価格
商品価格が400ドル以内
eパケットが使える国
2023年現在、eパケットが使える国は以下の44カ国となっています。
- オーストラリア
- オーストリア
- ベルギー
- ブラジル
- カナダ
- クロアチア
- デンマーク
- エストニア
- フィンランド
- フランス
- ドイツ
- ギリシャ
- 香港
- インドネシア
- ハンガリー
- アイルランド
- イスラエル
- イタリア
- 日本
- カザフスタン
- ラトビア
- リトアニア
- ルクセンブルク
- マレーシア
- マルタ
- メキシコ
- オランダ
- ニュージーランド
- ノルウェー
- ポーランド
- ポルトガル
- ロシア
- サウジアラビア
- シンガポール
- スペイン
- 韓国
- スウェーデン
- スイス
- タイ
- トルコ
- ウクライナ
- 英国
- アメリカ合衆国
- ベトナム
商品の仕入れでeパケットを使う
中国のサイトから商品を仕入れる場合、商品はeパケット(中国EMS)で配送されます。中国の大手ECサイトであるalibaba(アリババ)などの中国のサプライヤーサイトから商品を購入すると、中国EMSで配送してくれます。
ドロップシッピングでeパケットを使う
中国のサイトを使ってドロップシッピングを行う場合、注文のあった商品はeパケットで消費者に直接配送されます。
ドロップシッピングを行うことで、在庫を持たずに商品を販売することができます。商品が売れると、ドロップシッピング業者が梱包・発送作業を行い、顧客への配送手続きを済ませてくれます。在庫ゼロで商品を販売できる、初期費用が低いといったメリットもあるため、「ドロップシッピングの始め方」の記事も参考にしてみてください。
オンラインストアでShopifyを利用している場合は、Shopify Alibabaアプリをインストールするか、アリババドロップシッピングポータルの [マイストア] からアクセスできます。
eパケットの配送にかかる日数の目安
eパケットの配送にかかる日数は、配送先によって異なります。地域ごとの配送にかかる日数の目安は以下のとおりです。
- メキシコ:約20営業日
- ロシア、サウジアラビア、ウクライナ:7~20営業日
- 日本を含む上記以外の国:7~30営業日
上記の日数はあくまでも目安であるため、通関手続きや輸送状況により、実際にかかる日数は前後する可能性があります。特に、配送期間が中国の祝祭日にまたがる場合や気象条件が悪い場合には、配送が遅れることが予想されます。また、税務書類の不備があると、税関での長期滞留の原因となります。
国内配達とは異なり、配送にかかる日数が長い傾向がありますが、eパケットは追跡サービスを提供しているので、随時、荷物の配送状況を確認することができます。
eパケットの追跡方法
eパケットを追跡するには、発送された荷物の追跡番号を確認し、追跡番号を入力して配送状況を閲覧します。eパケットの追跡サービスを利用できる主なサイトは、次のとおりです。
番号を入力して検索するだけで、配送中のeパケットを追跡できます。
追跡番号は、注文履歴の詳細部分に記載されていることがほとんどです。配送情報や国際配送会社などの記載があれば、その周辺に番号が記載されていることが多いでしょう。
eパケットの追跡番号は13文字の英数字で、通常アルファベットのLから始まります。2番目の文字は任意の大文字、以降の9桁は任意の識別番号です。最後の2文字は出荷元の国を表しているので、eパケットの場合は中国を指す「CN」になります。
通常、eパケットが中国国内にある間は、前述の中国郵政速逓物流の公式サイトで追跡が可能ですが、公式サイトでうまく検索できない場合は、aftershipやShip24などのサイトで検索してみてください。日本国内に到着した荷物は、郵便局のサイトからも検索が可能です。
eパケットで配送された荷物にかかる関税
eパケットで配送された荷物を受け取る際に、購入者が関税を支払わなければならないことがあります。
通常、課税価格の合計額が1万円以下の場合、「少額貨物の免税制度」が適用されるため、革製品などの一部の例外品を除いて、関税及び消費税が免除されます。ただし、ECサイトなどで販売することを目的とした小口輸入の場合は、税関の判断により税額が決定されます。そのため、どういった商品に関税がかかるのかを事前に調べておくことをおすすめします。
身に覚えのないeパケットが届いた場合の対応
近年、身に覚えのないeパケットが自宅に届くケースが増えています。注文していない商品を勝手に送り付け、受け取りを拒否しなければ購入したものとして代金を請求するネガティブオプションという手法があり、海外からのeパケットに警戒心を抱く人も少なくありません。身に覚えのないeパケットが届いた場合には、以下の対応が可能です。
1. 最近のネットショッピングで購入したものを確認する
身に覚えのないeパケットが届いたら、まずは最近ネットショッピングで購入したものの中で、届いていない商品があるかどうかを確認しましょう。
自分では注文した記憶がない場合でも、家族や友人のeパケットである可能性もあります。配送伝票の送り主欄が無記名だったり、送付状や請求書が同封されていなかったりすると、すぐに確認できない場合があるので注意が必要です。
2. 受け取り拒否が可能かどうかを確認する
あなたや家族、友人が購入した商品ではないものが届いた時には、配送業者に事情を説明して、受け取り拒否が可能かどうかを確認しましょう。
受け取り拒否をする際には、送付票に記載されている発送元業者の名称や所在地、電話番号、伝票番号などの情報を記録しておきます。代金引き換えで届いた商品で、家族や友人が注文した商品である可能性がある場合は、受け取り保留にすることで、確認をする時間を確保できます。
誰も注文していないことがわかった場合は、受け取りを拒否しましょう。ただし、届いた商品が偽造品だった場合は、海外に返送すると関税法違反となるので、注意が必要です。
3. 受け取ってしまった、またはポストに投函されていた場合は一定期間保管する
ポストに投函されていた荷物で未開封のものは、受け取り拒否が可能です。しかし、受け取りと同時に代金を支払ってしまったり、受領印を押してしまったりした場合は、受け取り拒否ができません。
受け取ってしまった後に、送り主から「間違って配送してしまったので商品を返送してほしい」と要求される可能性があるので、一定期間保管しておくと安心です。また、ネガティブオプションで配送された商品は、受け取ってすぐに処分することも可能です。判断に困った場合は、消費生活センターに相談しましょう。
4. 代金を請求されても支払う必要はない
身に覚えのない商品の代金は、支払う必要はありません。ネガティブオプションなどで一方的に送り付けられた商品に関しては、消費者は直ちに処分することができ、商品を開封してしまったとしても支払い義務は生じません。
まとめ
eパケットは、ドロップシッピングや中国のサプライヤーからの仕入れの際に役立つ、安価で早い配送方法です。これからオンライン販売することを考えている場合は、国内のサプライヤーだけでなく、中国など、海外から商品を仕入れることも検討してみるとよいでしょう。
ECサイトの商品ラインナップを考えている人や、ラインナップをリニューアルしたい人は、ぜひ「売れる商品が探せる場所17選」の記事も参考にしてみてください。
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eパケットに関するよくある質問
中国からのEMSが届かない場合はどうすればいい?
中国からのEMSが届かない場合は、まず追跡番号で検索をして状況確認を行います。
追跡番号で検索できない場合は、購入先に問い合わせをして、追跡番号を再送してもらいましょう。繁忙期などで大量の商品を配送しているなど、状況によっては、追跡情報が反映されるまでに数日~10日以上かかることもあります。
中国国内でEMSが止まっている場合は、発送元に確認をお願いしましょう。日本国内に到着後で、追跡ステータスが止まっている場合は、通関手続きに時間がかかっている可能性があります。日本国内にEMSが到着しているのになかなかステータスが変わらない場合には、郵便局のお客様サービス相談センターに連絡をしてみることをおすすめします。
eパケットの追跡方法は?
eパケットは、追跡番号を中国郵政速逓物流(EMS)やaftershipの中国EMS(ePacket)追跡ページ、Ship24などのサイトで検索することができます。日本国内に到着後であれば、郵便局のサイトでも追跡可能です。
中国の国際eパケットの配送にかかる日数は?
中国の国際eパケットの配送にかかる日数は、配送先によって異なります。
配送先がメキシコの場合は約20営業日、ロシア・サウジアラビア・ウクライナは7~20営業日かかり、日本を含むこれら以外の国へは7~30営業日かかります。通関手続きや郵送の状況、祝祭日にまたがる場合や気象条件が悪い場合は、配送までに時間がかかる傾向にあります。また、税務書類に不備があると、税関での長期滞留の原因になります。
文:Masumi Murakami